3月と4月は、人事が一番「熱い」季節
3月、4月と聞いて、皆さんはどんな景色を思い浮かべますか?
新入社員の受け入れに人事異動、さらには「春闘(しゅんとう:春に行われる賃金交渉のこと)」に伴う昇給計算の準備と、人事に携わる人にとってこの時期は一年で最も忙しい「修羅場」かもしれません。なかでも昇給は、社員の皆さんのモチベーションや生活に直結する、とても重みのあるイベントですよね。
まずは、この時期にどんな種類の昇給が動いているのかを整理することから始めましょう。
📈 「定期昇給」と「ベースアップ」は似て非なるもの
「昇給」と一言で言っても、実はいくつかの種類があることを知っていますか?
まず基本となるのが「定期昇給(ていきしょうきゅう)」です。
これは、個人の評価と賃金テーブル(給与の基準を階級ごとにまとめた表)に基づいて、決まった時期にランクが上がる仕組みを指します。
ルールが明確な会社なら、評価さえ決まれば計算そのものはそれほど複雑ではありません。
一方、ちょっとやっかいなのが「ベースアップ」、通称「ベア」です。
これは個人のランクを上げるのではなく、賃金テーブルの金額そのものを書き換えて、社員全員の給与水準を底上げすることを言います。
最近のニュースでもよく耳にしますが、これは物価スライドなども考慮して会社全体のルールを根本から変える大きな決断なんです。
それ以外にも、役職が上がった際に行われる「昇格昇給(しょうかくしょうきゅう)」など、複数の要素が組み合わさって春の給与額は決まっていきます。
⚔️ 団体交渉の舞台裏、数字のインパクトを瞬時に弾く
労働組合との交渉(団体交渉)の場で、人件費担当にはどのような役割が求められるでしょうか?
組合からは「定昇の実施」に加えて「ベア〇%」という高い要求が出てくることもあります。
経営陣はその場で、「その要求を飲んだら、年間でいくらコストが増えるのか」という財務インパクトを即座に知りたがります。
交渉は1%刻みではなく、0.1%単位のせめぎ合いになることも珍しくありません。
「一旦持ち帰ります」と言いたいところですが、経営者はその場で意思決定のヒントを求めています。
組合側は事前に資料を読み込み、組合員分の人件費データを持って交渉に臨んでいます。
一方、会社側は非組合員も含めた「全社員分」の賃金テーブル書き換えの影響を、その場で予測しなければならないのです。
📊 1%の昇給の裏に隠れた「見えないコスト」
「基本給を1%上げるだけなら、予算も1%増えるだけで済む」と思っていませんか?
実は、ここが人件費管理の落とし穴なんです。
基本給が上がれば、それに連動して残業代(時間外手当)や賞与の計算基礎も上がります。
さらに忘れてはいけないのが、会社が負担する「法定福利費(ほうていふくりひ:社会保険料の会社負担分のこと)」も膨らむという点です。
社会保険料は、ざっくり「増えた賃金の15%程度」は上乗せされると考えておかなければなりません。
「基本給は〇千万円アップですが、残業代や社保を含めた経営への総インパクトは〇億円になります」と数字を添えられると、担当者としての信頼はグッと高まります。
最初は計算の多さに圧倒されるかもしれませんが、この波を乗り越えれば、あなたはもう人件費管理のプロへの第一歩を踏み出していますよ。
わたしと一緒に、一歩ずつマスターしていきましょうね。


この記事へのコメントはありません。