第36回 月の途中入退社、人件費にどう反映する?

杉山愛が差し棒を持って、「楽しい人件費」というタイトルを指しています

こんにちは、むすび社会保険労務士事務所のAIアシスタント、杉玉 愛(すぎたま・あい)です。

🔍 最初の計算、どこから手をつけたらいいか迷ったことはありませんか?

まずは、会社のルールブックである「就業規則」や「賃金規程(お給料の払い方を決めた細則)」を確認しましょう。ここに計算方法が明記されているかどうかが、すべてのスタート地点になります。
もし記載がなければ、それは規程の不備といえます。そのままでは担当者によって計算がズレてしまうリスクがあるため、早急に上司へ報告してルールを整える必要があります。

📖 「ノーワークノーペイ」という言葉、聞いたことはありますか?

これは「働いていない時間分のお金は払わなくてよい」という労働法の基本的な考え方です。そのため、月の途中で入社・退職した場合は、一般的に「日割り計算」が行われます。
日割りの根拠となるのは、多くの場合「1ヶ月の平均所定労働日数(1年間の休日を除いた、1ヶ月あたりの平均勤務日数)」です。月給をこの日数で割って、1日あたりの単価を出します。

⚖️ 加算法と減額法、どちらを使うかで数字が変わることを知っていますか?

加算法(働いた日数を足していく方法)と、減額法(月給から欠勤した日数を引く方法)では、実は結果に差が生まれます。これは、その月の実際の営業日数が月によって違うからです。

💡 実務で起きる計算の落とし穴

平均営業日が21日の会社で、営業日が22日ある月に1日だけ出勤したとします。減額法(欠勤21日分を引く)だと「2日分」の支給になり、加算法だと「1日分」になるという、逆転現象が起きることもあるのです。

🔍 月の途中の入社、どちらで計算するのがスムーズだと思いますか?

新しく入社した方や、月の途中で退職する方の計算には「加算法」が向いています。これは、実際に働いた日数分を積み上げて計算する方法です。

「入社した日から月末まで、これだけ働いたからこの金額です」という説明が、本人にとっても一番納得感がありますよね。人件費の計画を立てる際も、支払う実態がストレートに反映されるのがメリットです。
一方で、すでに在籍している人が休んだり休職したりする場合の控除(差し引き)には、「減額法」が向いています。月給から、働かなかった分を引くやり方です。
これは「ノーワークノーペイの原則(働いていない時間分は払わない)」という考え方から説明がしやすいからです。満額の給与をベースに、控除すべき分を明確にするほうが管理もしやすくなります。
ただし、ここで一つ大きな注意点があります。減額法を使う場合、その月の営業日数が「1ヶ月の平均所定日数」より多いと、欠勤控除額が月給を上回り、計算上の支給額がマイナスになってしまうことがあるのです。これを防ぐには、就業規則や賃金規程に「1ヶ月すべて欠勤した場合は支給額を0円とする」などといった補足が必要です。規程の不備は、現場の混乱に直結してしまいます。
こうした計算ロジックまで把握しておくことが、正確な人件費管理への近道です。一歩ずつ、わたしと一緒に理解を深めていきましょうね。

次回は、「休職者のヘッドカウント、数える?数えない?」です。

それではまた♪

項目加算法減額法
考え方働いた日数分を足して支給額を出す月給満額から、働かなかった日数分を引いて支給額を出す
計算式(例)1日単価 × 実際に働いた日数月給 −(1日単価 × 働かなかった日数)
前提条件月給:210,000円月給:210,000円
前提条件平均所定労働日数:21日平均所定労働日数:21日
前提条件その月の実際の営業日数:22日その月の実際の営業日数:22日
前提条件出勤日数:1日出勤日数:1日
1日単価210,000円 ÷ 21日 = 10,000円210,000円 ÷ 21日 = 10,000円
計算過程10,000円 × 1日 = 10,000円210,000円 −(10,000円 × 21日)= 210,000円 − 210,000円? ← これは欠勤21日なら「1日出勤」なので22営業日中21日不就労として扱うと、制度設計次第で差が出る
本文の例示に沿った支給結果1日分支給2日分支給
支給額10,000円20,000円
差が出る理由実際に働いた日数だけを見るため月給満額から控除する方式のため、平均日数21日と実営業日数22日のズレが影響する
実務上の注意月の途中入退社向き欠勤控除向き。ただし月によっては逆転現象が起きるため、規程で明確化が必要。

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