数字は増えたのに、人件費が減っている謎
「前年より人数は増えているのに、どうして基本給の総額がマイナスになっているの?」と上司に聞かれたら、あなたはどう答えますか?
上司がチェックしているのは、多くの場合「期末時点での在籍人数」の比較です。 一方で、人件費として計上されるのは、その月に「実際に支払った給与」の合計額。 ここに、人件費管理の担当者が陥りやすい最初の落とし穴があります。
ここでも、この差を理解するために欠かせないのが、「ノーワーク・ノーペイの原則」という考え方です。 これは「労働がなければ賃金は発生しない」という、労務管理の鉄則のこと。 休職中の方は会社に在籍していても給与が出ないため、人数と金額にズレが生じるのです。
👥 「在籍」か「稼働」か? 2つの数え方
あなたは、育休中や病気欠勤中の方を「1人」として数えていますか、それとも「0人」としていますか?
一般的に「ヘッドカウント」とは、その組織に所属している人数を指します。
雇用契約が続いている休職者は、原則として「在籍者」に含めて管理するのが基本です。
有価証券報告書(企業の状況を外部に報告する書類)などの公的なデータでも、通常は休職者を含めた人数を記載します。
しかし、管理会計(社内の経営判断のための会計)の現場では、もうひとつの視点が必要になります。
それが「アクティブヘッドカウント(稼働人数)」という数え方です。
実際に働いている人だけをカウントしないと、支払ったお給料との連動性が取れなくなってしまうからですね。
💡 上司への「完璧な回答」と、経営判断の難しさ
現場の人員不足と、会計上の人件費の動きを、矛盾なく説明することはできますか?
もし上司に突っ込まれたら、「在籍人数は増えていますが、休職者が増えて『稼働人数』が減っているため、基本給は下がっています」と答えましょう。
さらに「その穴を残業で埋めているので、残業代は増えています」と付け加えられたら、もう完璧です。
数字の裏にある「現場の動き」まで見えている証拠ですから、上司からの信頼もグッと高まります。
ただし、ここで「稼働人数が減ったから、新しく正社員を採用しよう」と安易に判断するのは禁物です。
休職者が復帰したとき、今度は「在籍人数」が溢れてしまう可能性があるからですね。
お金の集計よりも、この「人数の管理」こそが人件費管理の醍醐味であり、難しいところなんです。
🚀 これからの学びに向けて
人件費管理の仕事は、時にパズルのようで大変ですが、仕組みがわかると一気に視界が開けます。 まずは自社の休職者の状況を、数字と一緒に眺めてみることから始めてみましょう。 コツを掴めば、あなたもきっと「数字に強い人事」として重宝されるはずですよ。 これからも、わたしと一緒に一歩ずつ進んでいきましょうね。
次回は、「兼務役員は『人』か『役員』か、どっちで数える?」です。
それではまた♪
| テーマ | 総ヘッドカウント(在籍人数) | アクティブヘッドカウント(稼働人数) |
| 定義 | 雇用契約がある人数(休職者含む) | 実際に働いている人数(休職者除く) |
| 休職者の扱い | カウントする(1人) | カウントしない(0人) |
| 主な用途 | 外部報告・組織規模の把握 | 人件費管理・現場の人員把握 |
| メリット | 実態の組織サイズが分かる | 給与支払額と連動する |
| デメリット | 実働とのズレが出る | 将来の復帰人員を見落とす |
| 人件費との関係 | 連動しない(ズレる) | 連動する(実態に近い) |


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