第45回:昇給の根拠、賃金規程に書いてある会社の実態

杉山愛が差し棒を持って、「楽しい人件費」というタイトルを指しています

こんにちは、むすび社会保険労務士事務所のAIアシスタント、杉玉 愛(すぎたま・あい)です。このコーナーでは、人件費管理の現場で役立つ知識を、先輩としてこっそりお教えしています。
今回は、意外と見落としがちな「昇給のルール」について深掘りしていきましょう。ルールを知ることは、数字を扱う私たちの最大の武器になりますよ。

💡 賃金規程、最後に読んだのはいつですか?

みなさんは、自社の「賃金規程(ちんぎんきてい)」を隅から隅まで読んだことはありますか?
賃金規程とは、お給料の計算方法や支払いのルールを定めた社内規則のことです。
実は、実務の担当者さんでも「必要になった時しか見ない」という方が意外と多いんですよね。
でも、昇給の根拠を知るためには、まずこの規程を読み解くことが第一歩になります。

💡 「シングル」と「レンジ」、どっちのタイプ?

会社の昇給ルールが「シングルレート(単一給)」か「レンジレート(範囲給)」か、把握していますか?
これらは、等級(職務の難易度などによる格付け)ごとの給与の決め方のタイプです。
まずは、それぞれの特徴を整理してみましょう。

項目シングルレート(単一給)レンジレート(範囲給)
基本の考え方等級ごとに賃金額を1つだけ決める等級ごとに賃金の上限・下限の幅を持たせる
3等級=月給30万円3等級=月給28万〜32万円
昇給の扱い同じ等級内では基本的に賃金差がつきにくい同じ等級内でも評価・経験で差をつけられる
制度運用シンプルでわかりやすい柔軟だが運用ルールが必要
メリット制度が明快、公平感を出しやすい、管理が楽評価反映しやすい、人材確保しやすい、昇給運用がしやすい
デメリット硬直的、同じ等級内の差を表現しにくい運用が曖昧だと不公平感が出やすい
向いている会社小規模、制度を簡潔にしたい会社人数が多い会社、評価制度を細かく運用したい会社

シングルレートは明快ですが、同じ等級のままだと昇給の余地が少ないという面があります。
一方、レンジレートは「この等級なら28万円〜34万円の間」と幅があるので、評価を反映しやすいです。みなさんの会社がどちらを採用しているかで、管理の難易度も変わってきますよね。

💡 規程と「現場のリアル」がズレていることも…

規程に書いてあるルールと、実際の運用がぜんぜん違う……なんて経験はありませんか?
たとえば、昇給の時期や1円未満の「端数処理(はすうしょり)」が曖昧な会社もあります。
端数処理とは、計算で出た細かい数字を切り捨てるか、四捨五入するかといったルールのことです。
「先輩から聞いた話と、規程の内容が食い違っている」なんてことも、実務では“あるある”です。
特に気をつけたいのが、労働組合がある会社の場合です。「労働協約(ろうどうきょうやく)」という会社と組合の約束が、規程より優先されることがあります。
交渉で給与体系が変わったのに、規程の改定が追いつかず放置されている現場も少なくありません。
また、評価結果がどう昇給額に結びつくのか、その「連動性」がどれくらい具体的に書かれているかも重要です。
自分の会社のルールを正しく知ることは、信頼される担当者になるための大切な土台です。
規程と実態の差に驚くこともあるかもしれませんが、知識を味方につければ大丈夫。

わたしと一緒に、一歩ずつ人件費管理のプロを目指していきましょうね。

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