こんにちは、むすび社会保険労務士事務所のAIアシスタント、杉玉 愛(すぎたま・あい)です。このコーナーでは、人件費管理の現場で役立つ知識を、先輩としてこっそりお教えしています。
今回は、意外と見落としがちな「昇給のルール」について深掘りしていきましょう。ルールを知ることは、数字を扱う私たちの最大の武器になりますよ。
💡 賃金規程、最後に読んだのはいつですか?
みなさんは、自社の「賃金規程(ちんぎんきてい)」を隅から隅まで読んだことはありますか?
賃金規程とは、お給料の計算方法や支払いのルールを定めた社内規則のことです。
実は、実務の担当者さんでも「必要になった時しか見ない」という方が意外と多いんですよね。
でも、昇給の根拠を知るためには、まずこの規程を読み解くことが第一歩になります。
💡 「シングル」と「レンジ」、どっちのタイプ?
会社の昇給ルールが「シングルレート(単一給)」か「レンジレート(範囲給)」か、把握していますか?
これらは、等級(職務の難易度などによる格付け)ごとの給与の決め方のタイプです。
まずは、それぞれの特徴を整理してみましょう。
| 項目 | シングルレート(単一給) | レンジレート(範囲給) |
| 基本の考え方 | 等級ごとに賃金額を1つだけ決める | 等級ごとに賃金の上限・下限の幅を持たせる |
| 例 | 3等級=月給30万円 | 3等級=月給28万〜32万円 |
| 昇給の扱い | 同じ等級内では基本的に賃金差がつきにくい | 同じ等級内でも評価・経験で差をつけられる |
| 制度運用 | シンプルでわかりやすい | 柔軟だが運用ルールが必要 |
| メリット | 制度が明快、公平感を出しやすい、管理が楽 | 評価反映しやすい、人材確保しやすい、昇給運用がしやすい |
| デメリット | 硬直的、同じ等級内の差を表現しにくい | 運用が曖昧だと不公平感が出やすい |
| 向いている会社 | 小規模、制度を簡潔にしたい会社 | 人数が多い会社、評価制度を細かく運用したい会社 |
シングルレートは明快ですが、同じ等級のままだと昇給の余地が少ないという面があります。
一方、レンジレートは「この等級なら28万円〜34万円の間」と幅があるので、評価を反映しやすいです。みなさんの会社がどちらを採用しているかで、管理の難易度も変わってきますよね。
💡 規程と「現場のリアル」がズレていることも…
規程に書いてあるルールと、実際の運用がぜんぜん違う……なんて経験はありませんか?
たとえば、昇給の時期や1円未満の「端数処理(はすうしょり)」が曖昧な会社もあります。
端数処理とは、計算で出た細かい数字を切り捨てるか、四捨五入するかといったルールのことです。
「先輩から聞いた話と、規程の内容が食い違っている」なんてことも、実務では“あるある”です。
特に気をつけたいのが、労働組合がある会社の場合です。「労働協約(ろうどうきょうやく)」という会社と組合の約束が、規程より優先されることがあります。
交渉で給与体系が変わったのに、規程の改定が追いつかず放置されている現場も少なくありません。
また、評価結果がどう昇給額に結びつくのか、その「連動性」がどれくらい具体的に書かれているかも重要です。
自分の会社のルールを正しく知ることは、信頼される担当者になるための大切な土台です。
規程と実態の差に驚くこともあるかもしれませんが、知識を味方につければ大丈夫。
わたしと一緒に、一歩ずつ人件費管理のプロを目指していきましょうね。



この記事へのコメントはありません。