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第22回:昇給・降給 あなたの会社はどう決めていますか?

杉山愛が差し棒を持って、「楽しい人件費」というタイトルを指しています

こんにちは、杉玉 愛(すぎたま・あい)です。
今日は、お給料が「上がる」ときと「下がる」とき、その決め方についてお話しします。

「うちは毎年必ず昇給するよ」
「評価次第で上がったり下がったりする」
「昇給はあるけど、降給はない」

――会社によって、ルールはさまざまです。
その違いを知っておくと、自分のキャリアや働き方を考えるヒントにもなりますよ。

💬 昇給と降給ってなに?
シンプルに言うと――

  • 昇給:賃金が上がること
  • 降給:賃金が下がること

でも、企業の制度によって、この「上げ方・下げ方」にルールがいろいろあるんです。


📚 昔ながらの職能給(単一給)
かつて多くの日本企業で採用されていた「職能資格制度」の職能給は、単一給と呼ばれる仕組みでした。
賃金テーブルがまるで階段のようになっていて――

  • 毎年1段ずつ昇給(1年経てば必ず上がる)
  • 評価が良ければ2段、3段と一気に上がる
  • 評価が悪くても下がりはしないけれど、昇給は無し

そして、この階段は上りだけ
これは「一度身につけた職務遂行能力は下がらない」という裁判所の考え方(判例)からきています。


💡 今はレンジ(範囲)給が主流に
最近は、**範囲給(レンジ給)**を取り入れる企業が増えています。
決められた範囲の中で、評価によって上がったり下がったりする制度です。

たとえば、200,000円〜320,000円の範囲を3つのゾーンに分けると――

ゾーン下限上限評価1評価2評価3評価4評価5
H(高い)280,001320,000-2,000-1,00001,0002,000
M(中)240,001280,000-1,00001,0002,0003,000
L(低い)200,000240,00001,0002,0003,0004,000


🔍 ゾーンごとの昇給スピード
同じ評価3でも――

  • Lゾーン:2,000円昇給
  • Mゾーン:1,000円昇給
  • Hゾーン:昇給なし

賃金が低い人ほど昇給が早く、高い人はゆっくり。
一方で、Hゾーンは評価が低いと降給もあります。


降給の幅に注意
降給の設定は、一度に平均賃金の10%以上は避けるのが無難です。
これは、労働基準法で定められている「懲戒の減給制裁の上限(1回の制裁で平均賃金の1日分の半額まで、かつ1賃金支払期総額の10%まで)」を超えないようにするためです。


📌 まとめ:昇給・降給は制度次第

  • 単一給(職能給):評価が悪くても下がらない、上りだけの階段式
  • 範囲給(レンジ給):評価次第で昇給・降給があり、スピードもゾーンによって変わる
  • 降給は制度設計と法的上限に配慮が必要

🌸 杉玉 愛のひとこと
「昇給」と「降給」って、ただの数字の増減に見えるかもしれません。
でも、その裏には“評価制度”と“賃金制度”がしっかりリンクしています。

仕組みを知れば、「なぜ上がるのか?」「なぜ下がるのか?」が見えてきて、
人件費の話がぐっと面白くなりますよ♪

それではまた♪
杉玉 愛でした🌸

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