こんにちは、杉玉 愛(すぎたま・あい)です。
前回は、「ヘッドカウント(従業員数)と人件費は、そのままではリンクしないよ!」というお話をしました。
今回は、「じゃあ、どうすればリンクさせられるのか?」という点に迫っていきます。
大事なのは、ルールを決めておくこと!
ヘッドカウントで人件費をコントロールしようと思ったら、
「うちの会社ではこう数える」という明確なルールが必要です。
ルールがないまま数えてしまうと、
「去年と同じ人数なのに、なぜか人件費だけ増えた(減った)」
という、説明のつかない事態に…。これは避けたいですよね。
杉玉愛のおすすめ!6つのヘッドカウント管理ルール
以下の6点を押さえておけば、説明力の高い資料が作れるようになります。
- 従業員数は「月ごと」に数える
- 月途中の入退社は「何日働いたら1人か」を決める
- 休職者は数えない
- 雇用区分別に数える
- 兼務役員は、従業員部分も数える
- バイネームで数える
ひとつずつ見ていきましょう。
① 従業員数は「月ごと」に数える
「期末に何人いたか」だけでは、年間の人件費とはリンクしません。
毎月の人数をカウントし、年間合計(延べ人数)や平均人数を出すのがポイントです。
たとえば、100人が1年間ずっと在籍していれば、
延べ人数は 100人 × 12か月 = 1,200人
になります。
この延べ人数を前年と比較する方が、人件費との連動がわかりやすくなることもあるんです。
② 月途中の入退社は「何日働いたら1人か」を決める
入社・退社日が1日とは限りません。どう数えるか、ルールを決めておきましょう。
実務的には、次の3パターンがよく使われます。
- 出勤日数 ÷ 月間営業日数(小数点あり)
- 1円でも給料が出たら1人とカウント
- 月の半分以上勤務で1人、未満なら0人
私は②をおすすめします。理由はシンプルで、休職者の扱いとも連動させやすいからです。
ルールがバラバラだと、管理がどんどん複雑になりますからね。
③ 休職者は数えない
「ノーワーク・ノーペイ」の原則に基づき、給与が支払われない人はカウントしません。
対象となるのは、以下のようなケースです:
・ 病気休職(私傷病)
・ 産前産後休業
・ 育児・介護休業
・ 労災による休業
・ その他の無給休職
「でも、休職中も在籍しているし、代替要員の人件費が発生してるよ?」
というご意見、もっともです。
ですが、ここで問題になるのが勘定科目の違い。
たとえば、
正社員の休職者 → 賃金給料
代替の派遣やアルバイト → 雑給
このように別の勘定科目に計上されることが多く、数字が混ざると説明が難しくなるのです。
※ 勘定科目の考え方については、また別の回で詳しく紹介しますね。
だから私(杉玉 愛)は、「休職者は数えない」ことを基本にしています。
④ 雇用区分別に数える
「正社員」「パート・アルバイト」「役員」など、雇用区分ごとに人数を分けて数えましょう。
なぜかというと、人件費は一般的に以下のような勘定科目で管理されているからです。
・ 正社員 → 賃金給料
・ 非正規雇用 → 雑給など
・ 役員 → 役員報酬
ヘッドカウントもこの区分に合わせると、部門別・予実対比がしやすくなり、資料の質もぐっと上がります。
⑤ 兼務役員は、従業員としても数える
少しレアなケースですが「従業員+役員」の兼務をしている人、いますよね?
こうした方には、役員報酬と別に「賃金」が支払われているケースもあります。
この場合、従業員としても人数にカウントしないと、人件費と整合が取れません。
「役員カウントは当然必要。でも、賃金が発生しているなら、従業員としても数える」
ちょっとややこしいですが、ここは押さえておきたいポイントです。
⑥ バイネームで数える
最後に、少し手間がかかるけどとても大事なこと。
それは、「誰が出入りしたのか」を名前で管理することです。
たとえば:
新入社員が、1人入社
部長が、1人退職
合計すると「±0人」ですが、人件費への影響はまったく違いますよね。
バイネームで管理していれば、
「この人が抜けたから人件費が減ったんだな」という説明がすぐにできるようになります。
次回はいよいよ、ヘッドカウントのまとめ!
ここまで、ヘッドカウントを人件費にしっかりリンクさせるための6つのルールをご紹介しました。
次回はこのまとめとして、
ルールがないとどうなる?
ルールがあるとどう変わる?
という実務のリアルに迫ります!
「人件費をコントロールするって、結局どういうこと?」
その問いに、杉玉 愛がお答えします。どうぞお楽しみに!
この記事へのコメントはありません。