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第4回 労働時間の「原則と例外」をおさえよう!

こんにちは!
杉玉 愛(すぎたま・あい)です。「法学部出身じゃない人のための、やさしい労働法教室」、第4回目のテーマは……

労働時間の原則と例外


💡 労働時間の“原則”って?

まずは、いちばん大事な原則から!

📌 1日8時間・1週40時間
これが労働時間の基本ルールです(労働基準法 第32条)。

つまり、毎日8時間まで、週トータルで40時間までが基本ライン。
それを超えて働かせるのは、基本的にはNGです。


💡 でも、現実には毎日ピッタリ8時間で終わるとは限らない……

というわけで、例外がちゃんと用意されています。
それが 「変形労働時間制」「フレックスタイム制」 などのしくみ。


【例外その1】変形労働時間制

これは、週40時間の原則は守りつつ
「忙しい日は長めに働いて、ヒマな日は短めに調整しよう」という制度です。

代表的なものを紹介しますね。

◯ 1ヶ月単位の変形労働時間制

月の中で繁忙日と閑散日がある場合に使われます。
→ 1日10時間働く日もOK、でも 1ヶ月平均で週40時間以内 ならセーフ!

◯ 1年単位の変形労働時間制

季節によって忙しさが違う会社(たとえば観光業や製造業)などで使われます。
1年を平均して週40時間以内 ならOK!


【例外その2】フレックスタイム制

出勤や退勤の時間を労働者がある程度自由に決められる制度です。
→ たとえば「今日は10時〜19時、明日は8時〜17時」みたいに調整できます。

1ヶ月以内の期間で週40時間以内の調整が必要ですが、
最近は3ヶ月単位での管理も可能になりました。


【例外その3】時間外労働(=残業)と36(サブロク)協定

じゃあ、1日8時間・週40時間を超えて働かせたいときはどうするの?
そんなときに必要なのが、会社と労働者の間で交わす

📄 36(サブロク)協定(労働基準法 第36条)

この協定を結んでいれば、残業が可能になります!

ただし、「36協定を結べば何時間でも働かせていい」ってわけじゃないんです。


💥 36協定の上限 = 原則と例外

まずは原則!

📌 月45時間・年360時間
これが「時間外労働」の上限です(厚生労働省ガイドラインより)。

これを超えるには、さらに「特別条項付き36協定」が必要です。


【例外】特別条項付き36協定

「どうしても忙しい月がある」「繁忙期だけ乗り切りたい」
そんなときは、例外的に 月100時間未満・年720時間以内 までOKとなります。

でもこれはあくまでも、「例外中の例外」です。


🎯 面罰効果(めんばつこうか)って?

36協定を結ばずに残業をさせたら、労働基準法違反です。
でも、36協定を結んでおけば、“本当は違反だけど罰しませんよ”という効果があります。

これを 面罰効果 といいます。
つまり、法律上は違反なんだけど、協定で“罰は免じられる”という扱いですね。


📘 まとめ:原則をまずおさえよう!

1日8時間、週40時間。これがすべての出発点です。
そのうえで、柔軟に調整する仕組み(=例外)がある、という考え方が大切です。

就業規則や労使協定を読むときも、

「原則はなに?」「例外はなぜあるの?」

と考えるクセをつけていきましょう!

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